傷だらけ父さんのHappy Life Journey -マルファン症候群と共に生きる-

難病(マルファン症候群)をもち、これまで多くの手術を経験。そんな傷だらけ父さんの闘病記とハッピーな人生を追い求め挑戦する姿を紹介します。同じような境遇にある人、支える人達の不安を和らげ、諦めない気持ちへのエールになれば幸いです

良き患者であるススメ ④信頼するドクター、病院を見つけて不安に打ち勝つ

これから手術や入院、通院があり得る方へ、経験談を交えていまの段階からできることのおススメを紹介する「良き患者であるススメ」シリーズ。今回は「信頼するドクター、病院を見つけて不安に打ち勝つ」について紹介します。(「良き患者であるススメ」は過去の記事を含め下記カテゴリーにまとめています)

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不安を乗り越える信頼のパワー 

 これまでの36年の人生において、メスを体に入れるいわゆる外科手術は、ざっと思い出しても10回以上はある(その他の治療で手術室に昇ったこと、入院した経験はそれ以上で思い出しきれない)。手術は全身麻酔で心臓を止める大動脈の手術から、局所麻酔でドクターと会話しながらできる耳の手術まで、様々な手術、治療、検査、入院を経験してきた(ちなみに通院、日帰り入院はスペインとイギリスでも経験。この経験は興味深いと思うので後日アップしますね)

 手術や入院、通院の経験が多い分、多くの病院とドクター、医療従事者の方々のお世話になった。その一人ひとりのお陰で、今の私があり、こう活動できるので感謝で一杯であり、心から尊敬している。手術の大小に限らず手術台に昇り、今から手術が始まるというタイミングには、何度経験しても、正直不安と心配で一杯になる。でも、いつも「大丈夫。この人たち(周りを取り囲むドクターや手術スタッフ)を信頼している。任せよう。心配する必要なんてない。終わったらきっとよくなっている。」と自分に言い聞かせて、自分を落ち着かせて、手術にのぞんでいる。でも、この自分なりの儀式は、本当に心から病院やドクターを信頼しているからこそできる事だと思う。耳の手術は幼少の頃から社会人になった後まで4、5回経験しているが、主治医は幼少からずっと同じで、私のことをよく知ってくれているドクターにお願いしている(ドクターの所属病院が変われば、追っかけてそこで手術してもらうほど)。一方で大動脈の手術は1回目は鹿児島の病院、2回目は東京の病院、3回目は神奈川の病院で手術を受け、それぞれ別のドクターが執刀した。それぞれの手術はどれも大きな問題なく成功。本当に信頼できるドクターに手術してもらってよかった。特に、大動脈の手術は命にかかわるし、後遺症も今後の人生を大きく変えることがあるので、不安も大きく、よりドクターへの信頼を必要とした。

人生で一番大きく難しい手術を前にしたときの葛藤

 2017年に人生2回目の大動脈解離になり、その年の10月には2回目の大動脈手術を受け、鎖骨あたりから下20㎝位を人工血管に置換してもらった。ただ、みぞおち辺りから股にかけての大動脈は解離したまま胸腹部大動脈瘤として残っていた。そして、その拡張ペースに合わせて手術タイミングを決めることとして、経過観察を続けていた。

 ただこの胸腹部大動脈瘤は、拡張が進んで万一破裂することがあれば生死に直結すること、一方で手術の難易度が高いことは、インターネットで調べてわかっていた。具体的には、胸腹部大動脈の手術は胸部と腹部の両方を指すため、手術範囲が広い。加えて、脊髄のすぐ近くを沿う大動脈を手術することによる重大な後遺症(下半身や脚の麻痺)につながるのリスクが高い。さらに一般的に知られている手術のリスクや難易度に加えて、自身にはマルファン症候群による結合組織が弱いという特性がある。今まで手術を多く経験していることから肺や腹部の中(胃腸)の癒着が多いことも予想できた。

 このまま経過観察すること、手術を受けること。どちらも不安・心配がマックスだった。「自分や家族の人生はこれからどうなるんだろう。」将来の計画は立ててもあてにならない。経過観察や手術の結果によって全て変わる。このまま経過観察でいいのか、手術をうけるにしても今の(2回目の手術を受けた)病院でいいのか、ずっと悩みがあった。2回目の手術をしてくれたドクターを信頼している分、葛藤も大きかった。

人生で初めて自らの意思で病院を変える

 そして「胸腹部 大動脈 実績」などのワードをインターネット検索し、調べに調べた。調べた結果わかったことは、通っている東京の病院の胸腹部大動脈の手術実績は年に1、2回程度だった。この経験・実績の少なさを考えると、いくら信頼できる優秀なドクターがいるとはいえ不安だった。一方で、検索しているうちに、となりの神奈川に日本随一の手術実績数を誇る病院を発見した。この病院は同じマルファン症候群の方のブログにも登場しており、マルファン症候群の理解もありそうだった。

 そして神奈川の病院にも受診・相談することを決意し、その病院でも定期の検査を受けることになった。結果、その病院は手術に慣れていることもあり、早い段階で手術を決めてくれた。自らの意思で2回目の手術をしてくれた病院とは違う病院にも通い始めて1年後、変えた病院にて、大きな後遺症もなく「人間が受ける手術で一番大きい手術(主治医談)」の胸腹部大動脈手術を無事に成功してもらえた。

病院選びをするススメ

 これから手術がありえる方にとっては、それが大きい手術であればあるほど、心配・不安も大きいと思う。ただ、今まで多くの手術・入院を経験してきた私から、その不安に打ち勝つアドバイスがあるとすれば、

「信頼するドクター、病院を見つけること」

 いまの病院、主治医を心から信頼しているのであれば、その病院で手術を受けるのがいいと思う。もし不安があならば、インターネット等で調べて自分の病状や受ける手術にあわせた安心できる病院を探すことをお勧めする。人生を大きく左右する大きな手術だからこそ重要な意思決定であるし、病院を変えることになっても、きっと今通っている病院のドクターもその意思は尊重し理解してくれるはず。私もそうだった。だから、もし不安があれば是非、調べて、他もあたってみることをして(結果的に前の病院がいいと思えば、改めて前の病院がベストと気づけたことをラッキーと考えて)、いい手術結果と人生をつかみ取ってほしい。